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差額ベッド代(個室料)は医療費控除の対象になる?【国税庁問い合わせ結果】

入院したときの差額ベッド代(個室料)は医療費控除の対象になるのでしょうか。

差額ベッド代って何?

病院で、個室等に入院した場合に支払う費用が「差額ベッド代」です。

正式名称は「特別療養環境室料」といいます。

差額ベッド代は、健康保険がきかず、全額が自己負担となります。

差額ベッド代がかかるのは、以下のような基準で設置された部屋で。

  1. 病室の病床数は4床以下であること
  2. 病室の面積は1人当たり6.4平方メートル以上であること
  3. 病床ごとのプライバシーの確保を図るための設備を備えていること
  4. 少なくとも下記の設備を有すること
       ・個人用の私物の収納設備
       ・個人用の照明
       ・小机等及び椅子
  5.  
    厚生労働省通知(平成18年3月13日付け保医発0313003号)より引用

これを読むとわかるとおり、、1人用の個室はもちろん、最大で4人部屋でも差額ベッド代がかかる場合があるのですね。

「入院時に良い環境で過ごしたい」という患者側のニーズを受けて個室等がおかれているという建前なので、この費用は、患者負担となるのです。

また、差額ベッド代は病院にとって収益の柱となっており、全国的に個室は増加傾向にあると報道されています。(2006/11/08 SankeiWeb「分かる!差額ベッド(下)個室志向…増収の柱」)

差額ベッド代は支払わなくてもよいケースがある?

差額ベッド代ですが、実は、個室に入ったら必ず支払わなくてはならないというものではありません。
厚生労働省から医療機関の通知(※)により、以下のような条件をみたすことが必要とされています。

患者の同意があること

差額ベッド代を徴収する場合には、料金・設備について丁寧に説明した上で、同意書へのサインを受けることが必要とされています。

治療上の必要があること

以下のような場合には、差額ベッド代を求めてはならないとされています。

・救急患者や、術後患者で安静を必要とする場合
・常時監視して、適時適切な看護を必要とする場合
・免疫力が低下して感染症にかかる可能性がある場合
 
厚生労働省通知(平成18年3月13日付け保医発0313003号)より引用

大部屋が満床でないこと

室料差額のかからない大部屋が満床で、個室しか空いていない場合も、差額ベッド代を求めてはならないことになっています。

出産時の差額ベッド代は支払う必要がある?

普通分娩の場合

普通分娩で、母体にはとくに異常はない場合、治療上の必要があるとはいえませんので、個室を希望すると、同意書に署名したうえで差額ベッド代を支払うことになります。

帝王切開の場合

では、帝王切開などの手術の場合はどうでしょう?

「術後患者で安静を必要とする場合」や、「常時監視して、適時適切な看護を必要とする場合」にあたると思いますので、差額ベッド代を支払う必要は、本来はないはずです。

しかし実際は・・・

私が帝王切開の手術を受けたさいには、助産師さんに

助産師

手術後は、点滴の取り換えなどもありますので、術後管理のために2~3日は個室に入ってください

と説明されました。

私は事前に差額ベッド代について調べていたため、

(え・・・これって個室料をとっちゃいけない場面では?)

と思いましたが、すさまじい陣痛の中、緊急帝王切開が決まったというタイミングでそんなこと質問する余裕はありませんでした。

(これを断って大部屋利用になったら、手術後の管理がおろそかになって、大変なことになるのかな)

恐怖感もあって、個室利用の同意書にサインしてしまいました。

私が入院したのは、都内のそこそこお高い産婦人科だったため、差額ベッド代はなんと1日2万円!

ここになんと2日間(2泊3日)入院し、その後は大部屋か2人用個室に移動するということになりました。

帝王切開でかかったお金~出産費用の明細を公開~ 出産する産婦人科の選び方~転院した私の体験談~

自分の帝王切開以外にも、家族の入院に付き添ったことがありますが、どの病院でも個室を強く勧められます。経営上、個室を勧めるというマニュアルになっているのでしょう。
「これは治療上の必要がある場面ですから、室料はいらないはずですよね」とはなかなか言えないというのが実情だと思います。

差額ベッド代は医療費控除の対象になる?

帝王切開のあと支払った差額ベッド代。形式上は私が自主的に「個室への入院を希望します」という同意書にサインしてしまっているのですが、医療費控除の対象になるんでしょうか。

国税庁公式サイトにはこのように書かれています。

「自己の都合によりその個室を使用するなどの場合に支払う差額ベッド料については、医療費控除の対象となりません。」
 
【質疑応答事例】差額ベッド料|国税庁

ただ、ネットで検索していると、「証明書があれば可」という情報もちらほら。

しかし、病院で証明書を出してもらうとなると、文書料(3000円~)がかかり、還付金額を考えると割に合いません。

実際にはどうなのか、国税庁の電話相談センターに電話をかけて、尋ねてみました。

結論は「やむを得ない理由があればOK」

結論
やむを得ない事情があれば、差額ベッド代も医療費控除の対象になる。証明書は不要。

国税庁電話相談センターで、電話口に出てくださった職員の方との詳しいやりとりはこんな感じでした。

管理人

医療費控除について質問なのですが。
はい、どうぞ。

国税庁

管理人

入院のときの差額ベッド代(個室料)は医療費控除の対象とならないと読んだのですが・・・
ああ、それはですね、一応ならないものなのですが、他に空いている病室がないなど、やむを得ない事情があれば自己申告でいいです。

国税庁

管理人

えっ? いいんですか?証明書などはいらないんですか?
あまりにおかしければお尋ねする場合もあるかもしれませんが、基本的には自己申告です

国税庁

管理人

大部屋がいっぱいではなかったけれど、手術直後で、管理のため個室に入るよう言われた場合もよいですか?
それもいいですね。

国税庁

管理人

では、入院した病院が全室個室しかない病院で、必ず差額ベッド料がかかる場合もいいのでしょうか。
社会通念を超えるほど高額な病室であれば問題ですが、他に部屋がないということであれば、自己申告で入れていただいていいですよ

国税庁

びっくりするほどあっさりOKの回答でした。

個室料(差額ベッド代)についての医療費控除まとめ

まとめると、こんな場合には入院時の個室料(差額ベッド代、差額室料)も医療費控除の対象としてよいようです。

  • 満室で他に部屋がない場合
  • 病状等から個室に入るよう言われた場合
  • 全室個室の病院の場合

個室しかない病院で支払う個室料もOKというのは、個人的には「本当にそれでいいの?」という気がしないこともないのですが・・・。

何かとお金のかかる出産ですので、医療費控除でお金が戻ってくるのは本当に助かりますね。

※この内容は、管理人が聞いた内容をメモから再現していますが、聞き間違いや、表現の不正確な点などもあるかもしれません。参考程度にとどめていただくようお願いします。詳しくはこちらの記事もお読みになったうえで、最寄の税務署の電話相談センターにご相談ください。

そのほか、医療費控除できる妊娠・出産関連費用はこちらにまとめています。

妊娠・出産で医療費控除の対象になるもの(まとめ)

医療費控除で戻ってくる(還付される)額がいくらかについては、こちらにまとめています。

医療費控除とは?いくら戻る?還付金額をカンタンに計算する方法

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