医療費控除の対象になるもの、ならないものについて、このブログでは記事で紹介しています。
妊娠・出産で医療費控除の対象になるもの(まとめ)その記事の文末では必ず、「ご自身で国税庁の電話相談センターにお電話でお問合せください」ということを書かせていただいています。
でも、厳密にいうと、国税庁の電話相談センターに電話しても、最終的な判断ができない事例もあるんです。
書くたびに、たらい回しにしているような気がして、気が引けていたので、少し詳しくご説明させていただきたいと思います。
国税庁電話相談センターとは?
国税庁電話相談センターとは、全国の税務署の税の相談窓口です。
国税に関する一般的な質問を電話で受け付けており、匿名で利用できます。
各税務署ごとに電話番号が異なりますが、実際には、全国いくつかの大きなコールセンターで対応している様子です。
「この費用は医療費控除の対象ですか?」とか、「育休手当は所得になりますか?」みたいな質問は、この国税等電話相談センターで受け付けてくれます。
国税庁電話相談センターの答えられる範囲
国税庁電話相談センターは、「税に関する一般的な質問」に答える部門です。
そのため、国税庁の通達(内部的な取り扱いを定めた基準)や、前例(裁決事例)のあるものは、かなりはっきりと答えてくれます。
たとえば、
「ドラッグストアで購入したカゼ薬は、医療費控除の対象になりますか?」
「インフルエンザの予防接種費用は医療費控除の対象になりますか?」
といったような質問ですね。通達があるので「カゼ薬はOK」「予防接種はNG」と確実に答えてもらえます。
ただ、個別判断の必要な事例については、確答してくれません。
たとえば
というような質問です。
そうすると
ただ、どれぐらいひどい症状だったのか、タクシーに乗るのが本当にやむを得なかったのかという状況によっては、医療費控除の対象になる場合もあります。
税務署
というような回答が来ます。
こういった、個別の状況をもとに判断する必要のある事例については、結論を出してもらえません。
税務署は事前判断してくれない
じゃあ、結論を出して、最終判断をしてくれる人に相談したい!と思いますよね。
実は、個別の事例について、事前に確定した判断ってもらうことができないんです。
(上で挙げた例のように、通達や前例がある場合は除きます。)
税理士さんに相談してもダメです。
税というのは、「各納税者が税について知識を持ったうえで、自己の責任で正しいと思う申告をしている」というのが原則。
税についてそんなに詳しい人なんているわけないのですが、建前としてはそうなっています。
そして、確定申告の内容について、それがOKだったかどうか最終的に判断するのは、所轄税務署の個人課税部門の担当者の仕事です。
「国税庁の電話相談センターに問い合わせたら、こう言われたので、この費用を医療費控除の対象にした」と言って抵抗しても、所轄の税務署員がNGと判断すればNGとなります。
なので、極論すると、確定申告の3年後まで、税務署から内容の確認(「お尋ね」と呼ばれます。書類の場合も、電話も場合もあるようです。)が来て、修正を求められる可能性があります。悪質な脱税の場合は7年です。
医療費控除について、そんなにたくさん調査しているとは思いませんが、一定数を抜き取り調査してチェックしていると言われています。
医療費控除の上限額は200万円ですが、それぐらいの高額を申告すると、目立ってしまうかもしれません。
相続の発生したお宅で、ついでに過去の医療費控除にチェックが入る可能性もありますね。
(税務署の調査員は、より多く納税させると実績になりますので、ノルマ達成のため、大きく税金の取れそうなところを狙ってくると言われています。)
そして、内容について税務署が疑問をもった場合は、還付留保となり、「お尋ね」が来ます。
税務署からお尋ねが来たとしても、きちんと状況を説明して、税務署員が納得してくれたらそれで問題ありません。
納得してもらえなかった場合は、税額が計算しなおされ、追加して納税することになります。
「これで通った」口コミも参考にならない
妊婦さん仲間に
と聞くことがあるかもしれませんが、厳密にいうと、これも信じてはいけません。
確定申告の窓口は、出された書類を機械的に受け付けて、受付印を押しているだけで、内容について判断しているわけではありません。
また、税務署に確定申告をしにいくとき、ついでに「この費用はOKですか?」と聞くと、答えてくれる場合があります。
この場面でOKをもらっても、同じく、なんの意味もありません。
最終判断はやはり、受付後に個人課税部門の担当者がすることになります。
さらに、還付金が振り込まれたとしても、自分のした確定申告の内容が正しかったと証明されたわけではありません。
その後、税務調査でくつがえる可能性もあります。
電話相談は参考程度
確定申告にはこういった事情がありますので、他の方のブログで「国税庁の電話相談センターで、OKが出なかった場合は、何度か電話してみたらいい。担当者が変わるとOKと言われることもある」と書かれているのを読んだことがあるのですが、これも残念ですが正しくありません。
国税庁の電話相談センターでは、質問された内容を保存していません。
(聞いてみたところそう言われました。ただ、内部的に検討の必要な質問について、国税庁サイト上の質問応答事例に利用することはあるようですので、正確には、「記録としてメモしてはあるが、照会を受けて個別のやりとりを確認できる状態では保管していない」ということだと思います。)
ですので、税務調査で「あのとき電話相談でこう言われた」と主張するのも、決定的に役に立つことはなさそうです。
最終的には自己責任で
まあ、医療費控除のことですので、「個別の事情を説明しないと、どちらか判断がつかない」という費用自体、そんなに多くはないと思いますが……。
ある程度情報収集をしたうえで、「不確かだけど医療費控除する」という判断も、「不確かなものは医療費控除しない」という判断も、自分の責任で、というのが確定申告の世界のようです。
冒頭にも書いたとおり、通達や前例のあるものについては、電話相談センターではっきり回答してもらえますし、それは信じて大丈夫です。
この記事を読まれた方を余計に混乱させそうな記事で申し訳ないのですが、税金って不思議だなあといつも思っています。
妊娠・出産費用で医療費控除できるものについてはこちらにまとめています。
こんばんは。お久しぶりです。
私も電話相談センターの方から、「対象になると思いますが、管轄の税務署の判断になりますので、管轄の税務署が対象にならないと判断すればこちらではどうすることもできません。」と言われたことがあります。困りますよね・・・。
金額的にがらっと変わってくる内容については、個別の事情をお伝えして、管轄の税務署の個人課税の部門で聞くようにしています。
相談日と、担当者名、部門名(私の最寄税務署の場合、個人課税第一部門)を控えておくようにしています。
それでも、覆ることはあるんでしょうが・・・、最終的な判断部門でも意見が分かれる内容なら仕方ないかと自分で思えるだろうし、何より悪質性はないという証拠になるかなぁと。
税金って、難しいですね。
こんにちは。お久しぶりです。コメントをくださってどうもありがとうございます。
なるほど、事前に管轄の税務署に相談されたんですね。相談日や担当者名を控えておくのは良いですね。
体験に基づいたコメントをいただき、たいへん助かります。どうもありがとうございます。