医療費控除の確定申告をするとき、税務署に医療費の領収証を提出する必要があるんでしょうか?
ネット上には「必要がある」という情報もちらほら見つかりますが、実は2018年(2017年分)から制度が変わり、「提出する必要はない」となっています。
もくじ
医療費控除のしくみとは?
医療費控除とは、その年の1月から12月までの間に、一定額以上の金額の医療費がかかった場合に、税金を安くしてもらえる仕組みです。
安くなる金額は、年収によって変わってきますが、子育て世代では、これぐらいの金額になります。
こちらの記事で、医療費控除のしくみや、実際に戻ってくる税金額などを詳しく説明しています。
医療費控除とは?いくら戻る?還付金額をカンタンに計算する方法確定申告の方法
医療費控除をする場合には、支払った翌年の3月15日までに、税務署に確定申告する必要があります。
確定申告は、税務署で確定申告書が配布されているほか、国税庁公式サイトの「確定申告書等作成コーナー」で作成することもできます。
また、予約をとって税務署に出向き、税務署員さんに指導してもらいながら、確定申告書を作成することもできます。
確定申告に医療費の領収証は必要?
さて、確定申告のさいなのですが、医療費の領収証は提出する必要があるんでしょうか?
以前は、確定申告書とともに医療費の領収証を全部税務署に送ることになっていました。
しかし、2018年(2017年分)から制度が変わり、医療費の領収証は自宅保管し、税務署には送らなくてもよいことになっています。
そのかわりに、「医療費控除の明細書」という書面が準備され、ここに、病院名やかかった金額などを記入します。
「医療費控除の明細書」に記入すれば、証拠となる領収証は提出しなくてよいということになったんですね。
「医療費控除の明細書」は、手書きしてもよいのですが、件数が多くなると大変です。
パソコンをお持ちであれば、ExcelまたはLibreOfficeという無料ソフトをインストールして、自動計算するのがおすすめです。
以前は領収証添付が必要だった
なお、平成28年(2017年)分までは医療費控除の確定申告のさいには、領収証も添付して提出することが必要でした。
もし、さかのぼって2017年分以前の確定申告をしたいという場合には、以前のルールどおり、領収証の添付が必要となります。
医療費控除の確定申告は、5年後までであればすることができます。
関連記事のIDを正しく入力してくださいなお、e-TAX(自宅でパソコンを使って行う確定申告)の場合は、2017年分以前でも領収証添付は省略できます。
また、どうしても領収証を手元に置いておきたい場合には、返送用封筒を同封したり、税務署を訪れて直接提示したりすれば、返してもらうこともできます。
どうして変更されたの?
医療費の領収証を税務署に提出しなくてよいという制度に変わったのはなぜなのでしょうか?
これは、「税務署で領収証を保管するコストがかかりすぎるため」ということをある税理士さんから聞きました。
高齢化に伴う医療費の増大で、医療費控除の件数が増加しており、税務署に送られてくる医療費の領収証の件数も増加しました。
けれども、税務署の保管スペースには限りがあります。
また、医療費に対する助成金や、保険金の請求のために、「領収証を返してほしい」というリクエストもあり、領収証の管理にあまりに手間がかかるようになってきました。
税務署では、各種手続の電子化を進めていることもあり、「医療費の領収証は添付しなくてよい」というルールに変更したということなのです。
提出しなくても自宅保管が必要
「医療費控除の領収証を提出しなくていい」と聞いて、
と思いませんでしたか? 私は思いました。
実は、適当に大きな額を書いても確定申告は通ってしまいます。税金の還付も受けられます。
ただ、その後、税務署員がチェックをして、税務調査に来る可能性はゼロではありません。
医療費の領収証は、提出する必要はなくなりましたが、5年間自宅保管することが求められています。
そのときに、領収証がなかった場合には、不正を疑われることもありますので、保管しておくことが大切です。
なお、確定申告が通っても、後から税務調査が来る可能性がある理由は、こちらの記事でも説明しています。
医療費控除は何がOK?国税庁電話相談センターに聞いても実はムダな理由医療費の領収証を紛失してしまったら?
医療費の領収証を紛失してしまったり、他に提出してしまった場合はどうなるでしょうか。
私の場合は、帝王切開だったため、夫の職場の健康保険から「家族療養費付加金」というお金が支払われることになったのですが、その申請のために領収証の原本を提出することになってしまいました。
一応領収証のコピーはとってありますが、これでもよいのでしょうか。
また、通販で風邪薬を買った領収証などは、わざわざ発行してもらっていません。こういうときはどうなるのでしょう?
国税庁の電話相談センターに電話をかけて、尋ねてみました。
国税庁電話相談センターで、電話口に出てくださった職員の方との詳しいやりとりはこんな感じでした。
管理人
国税庁
管理人
国税庁
管理人
国税庁
管理人
国税庁
管理人
国税庁
管理人
国税庁
管理人
国税庁
というわけで、医療費の領収証がなくても、「医療費のお知らせ」やメールなどで代用できることが分かりました。
ただし、「何年何月何日に」「どの病院(お店)に」「誰が」「何(どんな治療・薬)に」「いくら払ったか」が明記されていることが条件です。
いっぽうで、領収証のコピーは税務署としては不可なので、原本を保管してくださいということでした。
領収証の自宅保管は5年!具体的にはいつまで?
医療費控除の領収証の自宅保管の期限は「5年」ということになっています。
ではこの5年というのは、具体的にはいつまでなのでしょう?
これは「確定申告期間終了後5年」です。
つまり、2019年にかかった医療費については、2020年3月16日が確定申告期限となりますので、その5年後である、2025年3月16日までとなります。
なお、2019年分までの確定申告については、医療費の領収書の添付して送ることもできます。
「自宅保管がどうしても面倒」という方は、今年までは送ってしまうことも可能です。
一番カンタンな医療費控除の方法について、詳しくはこちらの記事で説明しています。
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