高額療養費制度ってご存知ですか?
高額療養費制度とは、1か月(1日から末日まで)にかかった医療費が高額になった場合、一定の金額を超えた分が払い戻される制度です。
これって、出産のときにも利用できる場合があるんです。
ブログの帝王切開での出産入院費用の記事で、高額療養費制度との関係をご質問いただきましたので、こちらの記事で詳しくお答えしたいと思います。
もくじ
ご質問の内容
医療費控除(確定申告)もできますか?
(ご質問いただいたNJさま、どうもありがとうございます。)
これって、実際に帝王切開を受け、高額療養費制度でお金が戻ってくるまで、すごくあやふやな部分でした。
高額療養費制度とは?
高額療養費制度とは、1か月(1日から末日まで)にかかった医療費が高額になった場合、一定の金額を超えた分が払い戻される制度です。
1972年に創設された制度です。医療の高度化に伴い、患者の金銭的負担が上がってきたため、負担を軽減する目的で導入されました。
(平成23年版厚生労働白書53ページ参照)
日本の健康保険の特に手厚い点と言われており、これがあるために民間の医療保険にわざわざ加入するのは不要ともいわれます。
妊娠したらは医療保険は必要?~妊婦が損しない医療保険の入り方とは~高額療養費制度の負担の上限額は?
「一定の金額」は多くの場合、月8万円台ですが、年齢・所得により変わる場合もあります。
区分 | 年収 | ひと月の上限額(世帯ごと) |
---|---|---|
ア | 年収約1,160万円~ 健保:標準報酬月額83万円以上 国保:所得901万円超 | 252,600円+(医療費-842,000)×1% |
イ | 年収約770~約1,160万円 健保:標準報酬月額53万~79万円 国保:所得600万~901万円 | 167,400円+(医療費-558,000)×1% |
ウ | 年収約370~約770万円 健保:標準報酬月額28万~50万円 国保:所得210万~600万円 | 80,100円+(医療費-267,000)×1% |
エ | ~年収約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下 国保:所得所得210万円以下 | 57,600円 |
オ | 住民税非課税者 | 35,400円 |
共働きでそれぞれ健康保険に入っている場合は、本人(妻)のもので計算します。
妻が夫の健康保険の扶養に入っている場合は、夫の年収で計算します。
子育て世代の多くのご家庭では、「区分ウ 年収約370~約770万円」にあてはまるのではないでしょうか。
この区分のご家庭で、1か月30万円の医療費を窓口でしはらった場合、このような計算になります。
→つまり、医療費は本来100万円かかっており、自己負担額が30万円になっている
→80,100円+(1,000,000-267,000)×1%=87,430円
(画像は厚労省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」よりお借りしました。)
高額療養費制度のポイント
国内のどんな健康保険に入っていても適用されます。
ただし、申請が必要で、自動的に払い戻されるのではない点に注意が必要です。
申請の期限は2年となっていますが、健康保険により異なる場合があるかもしれませんので、念のためご確認ください。
高額療養費制度を利用する方法は?
高額療養費制度で医療費の払い戻しを受けるためには、加入している健康保険に連絡し、書類と領収証のコピーなどを提出することになります。
しかし、これではいったん医療費の自己負担分を自分で払う必要が出てきますね。
「あとから払い戻されるので別に良いよ」というご家庭もあるかもしれませんが、一時的にであっても、数十万円のお金を立て替えるのは家計が厳しいという場合もあると思います。
そのために「限度額適用認定証」という仕組みが用意されています。
高額療養費の限度額適用認定証とは?
限度額適用認定証とは、病院窓口で提示すると、高額療養費限度額以上の医療費を払わなくてよくなる書類です。
加入している健康保険に申請すると無料で交付してもらえます。
妊婦さんで、帝王切開で手術の予定が決まっているときや、切迫早産で長期入院しているときなど、入院費用の精算の前に限度額認定証をとっておくとよいと思います。
こちらが私がもらった限度額適用認定証の画像です。
表面。
裏面。
入院時の食事代は、定額が自己負担となることや、複数の病院にかかった場合のことが書かれていますね。
私の場合は、陣痛が始まって入院してから帝王切開と決まりました。
それまでは、限度額適用認定証の存在は知っていたものの、まさか自分が使うと思っていなかったので焦りました。
陣痛室で痛さのあまり冷や汗を流しながら、夫に「限度額適用認定証もらってきて・・・」と頼み、夫に「そんなこと今はどうでもいいから!」と言われたのを覚えています。
限度額認定証は4日ほどで発行され、退院時の精算に間に合いました。
ご質問その1 高額療養費制度
さて、私の場合は出産費用の最終的な自己負担額が28万4131円ですが、この部分は高額療養費制度が申請できないの?という疑問がありますね。
実はこの28万4131円は、高額療養費制度申請後の金額なんです!
帝王切開の場合、出産費用は保険適用される部分と、されない部分に分かれます。
健康保険が適用されるのは、手術など医療行為に関する部分です。
私の場合、帝王切開手術などの保険適用部分が11万8818円でした。
この金額に高額療養費制度を使い、限度額8万1385円のみの負担となりました。
(私の場合、入院中に限度額適用申請書を提出したので、改めて高額療養費の申請は必要ありませんでした。)
でも、手術費用以外に、赤ちゃんの入院費(9万円)とか、お産セット(3万1500円)とか、保険適用されない部分もあるんです。
それが、「自費分の内訳」として書いてあるものです。
これが計62万2740円で、ここは高額療養費の対象になりません。
だから、このようになりました。
ご質問その2 医療費控除
医療費控除(確定申告)もできますか?というご質問ですが、大丈夫です。もちろんできます。
保険診療分も、自費診療分も医療費控除できますので私の場合は、28万4131円をその年の所得から引くことができ、税金が少し安くなりました。
妊娠・出産で医療費控除の対象になるもの(まとめ)帝王切開費用はいくらかかる?費用の相場
帝王切開の場合の出産費用ですが、費用の記事でも書いたとおり、最終的には普通分娩とほぼ同額になるようです。
(いろんな病院に問い合わせましたが、ほぼ同額という答えが大半でした。)
帝王切開手術費用は、医療行為なので、支払額は健康保険の点数制で決められており、どの病院で帝王切開されても、私の11万8818円と大きく異ならないと思います。
それ以外の費用が、病院ごとに自由に設定する自由診療(保険適用外)ですので、病院ごとに大きく差が出てくると思います。
私が第一子を出産した病院は、もともとの出産費用がとても高く、70万円程度でした。
そのため、帝王切開のあとも自己負担が28万円も残ってしまいました。
もっと安い病院で出産したら、出産育児一時金(42万円)以下の出産費用になり、自己負担なしとなる場合もあります。
限度額認定証は事前準備がオススメ!
「出産前にやっておけばよかったこと」の記事にも書いていますが、限度額認定証は先にもらっておけばよかったなと思いました。
「帝王切開なんて自分には関係ない」と思っていても、出産の20%が帝王切開となっているという統計もあります。
切迫で入院される方や、帝王切開になった方、ぜひ高額療養費制度と限度額認定証のことを思い出してくださいね。
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