今年に入って出産のため退職された妊婦さんや、産休・育休取得中の方のいるご家庭は、数万円トクするかも?という情報です。
配偶者控除・配偶者特別控除の対象になり、夫の扶養に入った場合には、夫の税金が安くなるためです。
共働きのご家庭で、妻の年収201万6000円未満が条件です。
10月末~11月に職場で配布される、年末調整(「給与所得者の配偶者控除等申告書」という書類を出す手続き)で申請することになりますので、当てはまりそうな方はぜひチェックしてください。
退職時や、産休・育休中の配偶者控除・配偶者特別控除のしくみについて詳しく説明していきます。
もくじ
配偶者控除のしくみ
妻が出産で退職や育休取得した場合、「夫の扶養に入れる」と聞いたことはありませんか?
扶養に入ると、配偶者控除が受けられて、夫の税金の負担が軽くなります。
※正確にいうと「扶養に入る」というのは、「所得税法上の扶養」と「社会保険上の扶養(健康保険・年金)」がありますが、今回は所得税法上の扶養のお話です。
配偶者控除の条件は「年間の合計所得金額が38万円以下(給与収入103万円以下)」。
年収は、その年の1月1日から12月31日までに受け取ったものを合計します。
出産育児一時金、出産手当金、育児休業給付金をもらっていても、収入(所得)には加算しません。
配偶者控除を受けるとどうなる?
妻の年収が103万円以下で、配偶者控除が受けられると、こんな効果があります。
夫の住民税を計算するさいに、所得から33万円を引いて(控除して)もらえる
所得税というのは、所得額に税率をかけて計算されます。
配偶者控除を受けると、税率をかける所得額(課税所得)が少なくなるのです。
一般的な子育て世代の夫の年収(所得税率5%~20%、住民税率10%)であれば、5万2000円~10万9000円の税金が節約できることになります。
計算方法は以下の通りです。
夫の税金が5万円~10万9000円程度安くなります。
計算方法
所得税:△1万9000円~7万6000円(控除額38万円×税率5%~20%)
+
住民税:△3万3000円(控除額33万円×税率10%)
配偶者控除が受けられなくても「配偶者特別控除」がある!
配偶者控除がとてもお得な仕組みだということを見てきました。
でも、対象となるのは年収103万円以下。
103万円を少しでも超えてしまうと、まったく控除が受けられなくなるというのはあまりに不公平ですよね。
そのため、配偶者特別控除という仕組みがあり、妻の年収201万6000円までは、段階的に控除がうけられます。
妻の所得 (収入) | 夫の所得 (収入) | ||
---|---|---|---|
900万円以下 (1,120万円以下) | 900万円超950万円以下 (1,120万円超1,170万円以下) | 950万円超1000万円以下 (1,170万円超1,220万円以下) | |
38万円超 85万円以下 (103万円超150万円以下) | 38万円 | 26万円 | 13万円 |
85万円超 90万円以下 (150万円超155万円以下) | 36万円 | 24万円 | 12万円 |
90万円超 95万円以下 (155万円超160万円以下) | 31万円 | 21万円 | 11万円 |
95万円超 100万円以下 (160万円超 166万8000円未満) | 26万円 | 18万円 | 9万円 |
100万円超 105万円以下 (166万8000円以上 175万2000円未満) | 21万円 | 14万円 | 7万円 |
105万円超 110万円以下 (175万2000円以上 183万2000円未満) | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
110万円超 115万円以下 (183万2000円以上 190万4000円未満) | 16万円 | 11万円 | 6万円 |
115万円超 120万円以下 (190万4000円以上 197万2000円未満) | 11万円 | 8万円 | 4万円 |
120万円超 123万円以下 (197万2000円以上 201万6000円未満) | 3万円 | 2万円 | 1万円 |
123万円超 (201万6000円以上) | 0円 | 0円 | 0円 |
妻の年齢が70歳以上の場合は、さらに控除が増えますが(老人加算)、ここには掲載していません。
この表を見てわかるとおり、夫の合計所得金額1000万円以下(収入1220万円以下)でなければ、配偶者特別控除は受けられません。
では、配偶者特別控除でどのくらい税金を節約することができるのでしょうか?
合計所得金額が900万円(収入1,120万円)を超えるお宅はめったにないと思いますので、所得900万円以下として計算してみます。
夫の税金が数千円~10万9000円程度安くなります。
計算方法
所得税:△数千円~7万6000円(控除額は段階的に3万円~38万円×税率5%~20%)
+
住民税:△数千円~3万3000円(控除額は段階的に3万円~33万円×税率10%)
妻の収入にあてはまるものは何?(具体例)
さて、「妻の収入が201万6000円未満」とはいっても、どの収入が対象になるのでしょう。
分かりにくかったので、税務署に電話をかけて聞いてみました。
Q1 いつからいつまでの収入が対象ですか?
A1 配偶者控除(配偶者特別控除)の対象となる妻の収入は、今年1月1日から12月31日までに支給されたものです。
Q2 給与は、手取りですか? 額面ですか?
A2 額面(税込み)で判定します。
Q5 医療保険の払戻金を受け取ったときは所得に含まれますか?
A5 含まれません。(所得税法施行令第30条の「身体の傷害に基因して支払を受けるもの」にあたるため。)
(=たとえば、額面給与203万円で、生命保険料控除が4万円だった場合、配偶者特別控除の対象になりますか?)
A9 できません。「合計所得金額」を基準に判定しますので、源泉徴収票の「支払金額」の欄を見てみてください。「支払金額」が201万6000円を超えていたら対象になりません。
というわけで、すでに退職済みで源泉徴収票をもらった方は、源泉徴収票の「支払金額」の欄を見ればOKです。
育休中の方は、給与明細を見て、通勤手当や出張手当を除いた額を合算してみてください。
これが201万6000円未満であれば、年末調整で税金がかえってきます!
年末調整記入方法~「所得の見積額」はどう計算する?~
さて、年末調整の書類「給与所得者の配偶者控除等申告書」には具体的にどう書けばいいのでしょう。
H30から様式が大きく変わり、記入が一気に難しくなってしまいました。
まずは上から。
・氏名
・住所(居所)
・個人番号
を記入します。
その次が問題ですね!
いきなり「あなた(夫)の本年中の合計所得金額の見積額」を聞かれます。
H30から、年収が高い場合は配偶者控除を受けることができなくなったので、このような記入欄ができました。
今年の所得なんて、12月のボーナス支給まで正確には分からない金額なのに、こんなの聞かれて困りますね。
ただ、
所得900万円を超える場合
所得950万円を超える場合
所得1000万円を超える場合
で判定が異なるということなので、所得900万円(年収1120万円)を超えないことが確実でしたら、あまり神経質にならなくて大丈夫です。
合計所得金額900万円(年収1120万円)を超えない場合
合計所得金額が900万円(年収1120万円)を超えないことが確実な場合は、旦那さんの去年の源泉徴収票を持ってきて、「給与所得控除後の金額」という欄を見てください。
今年の給与が大きく変わらないなら、この数字を「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」の欄に書いてしまってOKです。
そして、「判定」欄にチェックを入れ、判定の記号を書きましょう。
所得の内訳も書いておきましょう。
こちらは年収600万円の場合の例です。
夫の年収1120万円~1220万円の場合旦那さんの年収が1120万円(合計所得金額900万円)~1220万円(合計所得金額1000万円)の場合はすごく迷いますね!
ただ、会社からの給与以外に収入がない場合は、この欄は間違っていても、職場の年末調整担当者の方が直せますのであまり問題ありません。
念のため、こちらが合計所得金額の早見表です。
給与以外に収入のある旦那さんの場合
それでは、不動産収入や副業の収入があって、給与とあわせると1200万円ぐらいになる旦那さんの場合は、扶養控除等申告書で年収の選択欄を間違っては大変・・・!
と思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
そういった方は、他の収入を確定申告することになるので、年末調整で間違ってしまっても確定申告で修正すれば十分なんです。
配偶者(妻)の所得を計算する
さて次に、控除対象配偶者の欄にうつります。ここですね。
以下の情報を記入してください。
・氏名
・個人番号
・生年月日
妻が海外在住の場合の記入欄もあります。
(親族関係書類と送金関係書類の添付が必要になります。)
・非居住者である配偶者:海外在住であれば「〇」を記入
・生計を一にする事実:海外在住であれば送金額等を記入
さて、次に「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」という欄が出てきますね。
ここに書く金額ですが、さっき見た源泉徴収票の「支払金額」をそのまま書いてはいけないんです!
面倒ですが、以下の早見表から「合計所得金額」を計算する必要があります。
収入(=支払金額) | 配偶者の合計所得金額 |
1,030,000円以下 | 38万円以下 |
1,030,000円超 1,500,000円以下 | 38万円超 85万円以下 |
1,500,000円超 1,550,000円以下 | 85万円超 90万円以下 |
1,500,000円超 1,550,000円以下 | 85万円超 90万円以下 |
1,550,000円超 1,600,000円以下 | 90万円超 95万円以下 |
1,600,000円超 1,667,999円以下 | 95万円超 100万円以下 |
1,667,999円超 1,751,999円以下 | 100万円超 105万円以下 |
1,751,999円超 1,831,999円以下 | 105万円超 110万円以下 |
1,831,999円超 1,903,999円以下 | 110万円超 115万円以下 |
1,903,999円超 1,971,999円以下 | 115万円超 120万円以下 |
1,971,999円超 2,015,999円以下 | 120万円超 123万円以下 |
2,015,999円超 | 123万円超(控除なし) |
「配偶者の合計所得金額(見積額)」の欄にも、先ほど計算した額を書いておきましょう。
この金額ですが、迷われたら少し大きい金額を書いておかれることをおすすめします。
というのも、年末調整で書いた金額が、結果的に間違っていた場合には、確定申告で修正する必要が出てくるんです。
妻の年収を高めに書いておき、税金を納めすぎになってしまった場合であれば、5年後までに税務署に問い合わせて、確定申告をすれば、税金を返してもらえる、というだけの手続きで済みます。
(平成30年分の収入については、平成35年12月31日まで確定申告が可能です。)
いっぽう、妻の年収を低めに書いて、年末調整で計算された税金では足りなくなった場合には、翌年2~3月に必ず確定申告しなければなりません。
確定申告を忘れていると、翌年秋ごろに税務署から会社に連絡が入り、不足分の税金を徴収されるだけでなく、延滞税まで支払うことになってしまいます。これは絶対に避けたいですね。
というわけで、配偶者の合計所得金額欄に201万5999円以下の金額を書き、旦那さんの勤務先に提出すれば自動的に税金が安くなります。
税金はいつから安くなるの?
さて、配偶者控除・配偶者特別控除を申請して安くなった税金はいつ戻ってくるんでしょうか?
所得税
所得税については、その年の12月の給与か、翌年1月の給与と一緒に返ってきます。
住民税
住民税については、翌年6月からの税金が安くなるという形で返ってきます。
5年前まで遡れます
これを読まれて、「昨年育休をとったのに、申請を忘れた!」と気づかれた方もおられるかもしれません。
H29以前の場合は、年収141万円以下で配偶者特別控除、年収103万円以下で配偶者控除が受けることができました。(H30以降とは違いますので要注意です!)
過去の分も、税務署に行けば遡って配偶者控除・配偶者特別控除を受けることができますので大丈夫です。
数万円のお金が戻ってくるチャンスです。よく調べて忘れず申告してくださいね。
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