お子さんが生まれるご家庭では、児童手当について調べられる方も多いと思います。
また、学資保険の相談で「児童手当を全額貯めれば200万円」と耳にされることもあると思います。
この記事では、
- 児童手当はいつ、いくらもらえるか
- 児童手当の申請手続
- 所得制限と特例給付
- 児童手当を全額貯めると合計額は200万円になというのは本当か?
児童手当とは?
児童手当って何?
児童手当とは、中学校修了までの児童を養育する方に、市区町村から支給される手当です。
児童手当の金額は?いくらもらえる?
児童手当の金額は以下の通りとなります。
年齢 | 児童手当(月) |
---|---|
3才未満 | 一律15,000円 |
3才以上小学校修了前 | 10,000円(第三子以降は15,000円) |
中学生 | 一律10,000円 |
また、「第三子以降」とは、高校卒業までの養育している児童のうち、3番目以降をいいます。
なお、後述する所得制限を超える場合は、減額された児童手当(特例給付)5,000円/月となります。
児童手当をもらうための手続きは?
児童手当をもらうためには、出生の翌日から15日以内に、居住している市区町村への申請が必要となります。
(公務員の人は原則、市区町村ではなく勤務先へ申請し、勤務先から支給されます。)
転居の場合は転入先の市区町村へ同様に転居翌日から15日以内に申請が必要となります。
申請が通った場合には、認定通知書が郵送されてきます。
児童手当はいつからもらえる?
児童手当は、期限内(出生翌日から15日以内)に提出した場合、出生月の翌月分から支給されます。
つまり、4月生まれのお子さんの場合は、5月分から15,000円が支給されることになります。
初回の児童手当はいつ振り込まれる?支払時期について
児童手当を申請しても、すぐ振り込まれるわけではありません。
児童手当の振込月は年3回(6月、10月、2月)しかありません。
各月の児童手当がいつ振り込まれるかを表にしました。
振込月 | 児童手当 |
---|---|
6月 | 2~5月分 |
10月 | 6~9月分 |
2月 | 10~1月分 |
振込月の関係で、5月、9月、1月生まれの赤ちゃんは、出産後すぐ申請しても、初回振り込みは最大5か月後となります。
振り込み日は、市区町村により異なりますが、「10日前後」「12日まで」などとしている自治体が多いようです。
児童手当の申請手続を忘れたら?
出生や転居の翌日から15日以内に児童手当の申請が必要です。
手続を忘れた場合はその月分の児童手当が受け取れません。
期限に遅れて申請書を提出した場合には、提出日の翌月からの支給となります。
出生届や転居届を提出するために役所に行くと、児童手当や乳幼児医療証の申請窓口を案内されるのが通常ですが、忘れず申請書を提出するようにしてくださいね。
児童手当の申請に必要な持ち物
児童手当を窓口で申請する場合、以下の持ち物が必要です。
- 請求者(父母のうち所得が高いほう)の銀行口座情報の分かるもの
- 印鑑(認印可)
- 請求者の健康保険証
- 請求者の個人番号(マイナンバー)の分かるもの
※子と別居の場合は、「監護事実の申立書」等の追加書類が必要となります。
※転居等のため、請求者・配偶者の所得が公簿から確認できなかった場合は、「住民税課税(非課税)証明書」の提出を求められることがあります。
児童手当はいつまでもらえる?
児童手当をもらえるのは、「15歳の誕生日後の最初の3月31日まで」です。
中学3年の3月分が最後の受給となります。
そのため、中学卒業直後の振込月である6月に振り込まれる2万円(2月、3月分)をもって児童手当は終了となります。
児童手当の所得制限と特例給付
児童手当には所得制限があります。
前年1月~12月の所得が以下の表の所得制限額を超える場合、児童手当が減額されます。
扶養親族等の数 | 所得制限限度額(万円) | 収入額の目安(万円) |
---|---|---|
0人 | 622.0 | 833.3 |
1人 | 660.0 | 875.6 |
2人 | 698.0 | 917.8 |
3人 | 736.0 | 960.0 |
4人 | 774.0 | 1002.1 |
扶養内の妻と子1人がいる夫が児童手当をもらう場合は、「扶養親族等の数 2人」の欄を見てください。
減額されるのは5月分~翌4月分の1年分となります。
減額された場合の児童手当は「特例給付」と呼ばれ、0歳から中学生まで一律で月額5,000円支給されます。
毎年の現況届提出が必要
児童手当を受給している場合、毎年6月に「現況届」の提出が必要です。
毎年6月に市区町村役所から現況届が郵送されますので、記入のうえ、健康保険証とともに返送します。
児童手当に関する疑問QA
子ども手当と児童手当との違いは?
子ども手当と児童手当は、名称が異なるだけで、受け取る側としては、ほぼ同じ仕組みです。
(違うのは、所得制限の有無や財源などです。)
「子ども手当」は、民主党政権下で制度が創設され、2010年(平成22年)から2012年(平成24年)まで支給されていました。
2012年(平成22年)に児童手当に名称変更されました。
なお、2010年の子ども手当支給より前も、「児童手当」の制度はありましたので、「児童手当」→「子ども手当」→「児童手当」と名称変更されてきたことになります。
月末に生まれたら損する?
月末生まれの場合は、1か月分損しますか?
損しません。
たしかに、児童手当についての内閣府サイトなどを見ると、このように書いてあります。
原則として、申請した月の翌月分の手当から支給します。申請はお早めにお願いします。
出典:児童手当制度のご案内|内閣府
月の末日近くに生まれたお子さんであれば、役所に申請するのは翌月になってしまいますよね。
ですが、その場合も1か月損するわけではありません。
「15日特例」という制度があり、「出生日や転入した日(異動日)が月末に近い場合、申請日が翌月になっても異動日の翌日から15日以内であれば、申請月分から支給します。」とされています。
原則と特例という形なのでまぎらわしいですが、月末生まれの場合も、出産の翌日から15日以内に申請すれば、損することはありません。
児童手当の所得制限は夫婦合算?
いいえ。夫婦合算ではなく、前年の所得の多い人について判断されます。
ただ、「夫婦合算とした上で、所得制限額を引き上げる」という見直しがたびたび議論されており、今後改正される可能性もあります。
児童手当は総額いくらになる?全て貯金した場合の金額
児童手当をすべて貯めていくと、総額いくらになるのでしょうか?
学資保険の相談に行くと「児童手当は総額200万円ぐらいです」と言われ、総払込額200万円程度の学資保険の加入を勧められると思います。
これを聞いて私は
管理人
と不思議に思いました。
なんと児童手当って、生まれた月によって総支給額が異なるんです!
詳しくご説明していきます。
児童手当は総額いくら?~第一子の一般的な例~
第一子で、親の所得制限のない、ごく一般的な家庭のお子さんの場合、支給総額はこのようになります。
- 4月生まれの場合 → 中学卒業までの支給合計は2,085,000円
- 3月生まれの場合 → 中学卒業までの支給合計は1,975,000円
4月生まれと3月生まれの児童手当の金額の差は11万円となっています。
どうしてこんな差が生まれるのでしょうか。
理由は、児童手当の終了時期にあります。
児童手当は出生翌月から毎月15,000円もらえます。
15,000円という児童手当の黄金期が続くのは、3才になる前月までの35か月間です。
問題は、支給が終了となる中学3年時点。
児童手当は、生まれ月にかかわらず、中学3年(正確には「15歳の誕生日後の最初の3月31日まで」)で支給が打ち切られます。
分かりますでしょうか?
図にするとこうなります。
上の図、省略部分が大きいので、金額差が大きく感じられるかもしれません。
省略なしの図はこちらです。
4月生まれの子はより長い期間児童手当を受給することになります。
生まれ月ごとの支給総額は以下の通りとなります。
出生月 | 支給総額 |
---|---|
4月 | 2,085,000円 |
5月 | 2,075,000円 |
6月 | 2,065,000円 |
7月 | 2,055,000円 |
8月 | 2,045,000円 |
9月 | 2,035,000円 |
10月 | 2,025,000円 |
11月 | 2,015,000円 |
12月 | 2,005,000円 |
1月 | 1,995,000円 |
2月 | 1,985,000円 |
3月 | 1,975,000円 |
3月生まれの子を持つ私からすると
管理人
と思う部分もあります。
子どもを独り立ちさせるまでにかかるお金って、月によって違いはないと思うんですよね。
どの子も同じ額ならすっきりするのですが、4月生まれの子がトータルで多く生活費・教育費がかかっているのかどうか???
児童手当は、「毎月の生活費を援助する」という制度なのだと思いますので、そう思えば納得できるような気もしますが・・・。
児童手当以外に、扶養控除の面でも早生まれ(1~3月生まれ)は損しがちという点(別記事でご紹介します)ともあいまって、3月生まれは損するなあという思いがぬぐえません。
児童手当は総額いくら?~特例給付ありの場合~
さて次に、年収の高い世帯で児童手当が減額され、特例給付(5,000円/月)をもらう場合を見てみましょう。
出産後、中学卒業までずっと特例給付だった場合、4月生まれと3月生まれでは55,000円の差が生じます。
特例給付のみを15年間もらう場合の支給総額は以下の通りとなります。
出生月 | 支給総額 |
---|---|
4月 | 955,000円 |
5月 | 950,000円 |
6月 | 945,000円 |
7月 | 940,000円 |
8月 | 935,000円 |
9月 | 930,000円 |
10月 | 925,000円 |
11月 | 920,000円 |
12月 | 915,000円 |
1月 | 910,000円 |
2月 | 905,000円 |
3月 | 900,000円 |
児童手当は総額いくら?~第三子以降の場合~
生まれ月による児童手当の差額は、第三子以降の場合はさらに広がります。
第三子以降の児童手当は、この金額がもらえます。
- 3才を超えて小学校卒業(12才)まで→15,000円/月
- 中学入学後卒業(15才)まで→10,000円/月
図にするとこのようになります。
第三子以降の場合には、4月生まれと3月生まれでは165,000円ものの差が生じます。
出生月 | 支給総額 |
---|---|
4月 | 2,685,000円 |
5月 | 2,670,000円 |
6月 | 2,655,000円 |
7月 | 2,640,000円 |
8月 | 2,625,000円 |
9月 | 2,610,000円 |
10月 | 2,595,000円 |
11月 | 2,580,000円 |
12月 | 2,565,000円 |
1月 | 2,550,000円 |
2月 | 2,535,000円 |
3月 | 2,520,000円 |
「『第三子以降』とは、高校卒業まで(18才の誕生日後の最初の3月31日まで)の養育している児童のうち3人目をいいます」という定めがあるためです。
第一子から第三子までの年齢差が3学年というのは、かなりのハードルなので、第三子加算を15年間満額をもらい続けるのはなかなか難しそうです。
児童手当の額は生まれ月/収入/子の数により大きく異なる
調べてみると、児童手当は
- 生まれ月
- 親の収入
- 家族構成(子の数・兄姉との年齢差)
児童手当の支給総額は、最小で90万円、最大で268万5,000円となりますが、一般的には200万円前後となります。
保険相談でFPさんが「もらえる児童手当の総額は200万円前後」と言っていたことから疑問を持ちましたが、
管理人
という感想になりました。
この児童手当200万円を学資保険にした場合、大学の学費として足りるのか?についてはこちらの記事でご紹介しています。
学資保険250万円で足りる?足りない?~大学の学費を計算してみた~スポンサードリンク
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