産後ケア入院を受け入れている、東都文京病院に見学に伺いました。
内容をレポートさせていただきます!
もくじ
きっかけはブログへのご連絡
見学のきっかけは、東都文京病院の助産師さんから、私のブログに「当院でも産後ケアを2015年から受けております。よろしければ、取材もお受けいたします。」というご連絡をいただいたことでした。
見学させていただけるなんてありがたい!とさっそく伺いました。
まずは東都文京病院の産後ケアの基本情報から。
東都文京病院産後ケア費用
1泊2日18,900円~23,100円
(その後1泊追加ごとに+18,900円~23,100円)
※個室料含(税込)
費用に含まれるもの
- 1日3食+おやつ
- 沐浴
- 沐浴指導
- ベビー服レンタル
- 粉ミルク代
入院費用に含まれないもの
- 洗濯
- 紙おむつ代(持ち込みも可)
- おしりふき代(持ち込みも可)
- タオル・バスタオルのセット(日額300円、持ち込みも可)
- レンタル病衣セット(500円、持ち込みも可)
- 生理ナプキン・産褥パッド(持ち込みも可)
東都文京病院の産後ケア設備、サービス内容
部屋数
1人部屋12室+大部屋
洗濯
ランドリーサービスなし。
院内に、患者の利用できる洗濯機あり。
(詳細は後述。)
トイレ・シャワー
バストイレ付き個室あり。
共用トイレ・シャワーあり。
面会時間
12:00~20:00
家族(上の子)の宿泊
3,000円+税/泊(簡易ベッド貸出料)
基本的には、父親が宿泊し、上の子の面倒を見ることを想定しているとのことでした。
家族の食事
1,200円+税/1食
入院できる時期
生後4か月程度まで。
予約方法
電話で予約。
出産後の受付も可能。
東都文京病院の所在地・アクセス
東都文京病院は、文京区湯島にあります。
〒113-0034 東京都文京区湯島3丁目5番7号
お近くの方でも「東都文京病院? そんな病院あったかな?」と思われるかもしれません。
東都文京病院の以前の名称は「小平記念東京日立病院」で、日立製作所の福利厚生の一環として運営されていました。
2014年4月に医療法人社団大坪会が運営を引き継ぎ、「東都文京病院」となりました。
最寄駅は、御茶ノ水駅、湯島駅、末広町駅、本郷三丁目駅、新御茶ノ水駅と多数あり、いずれも徒歩8~15分です。
御茶ノ水駅からのアクセス(写真あり)
御茶ノ水駅から東都文京病院まで歩いてみました。
御茶ノ水駅の聖橋口から出るのがわかりやすそうです。
聖橋口はエレベーターあります。
さて、御茶ノ水駅の聖橋口を出るとすぐ、順天堂大学病院、東京医科歯科大学病院が見えました。
近くには、東京大学病院、日本大学病院、三楽病院などもあります。病院密集地帯ですね。
[参考]付近の出産できる病院一覧
東京都文京区の産婦人科の出産費用(出産できる病院と分娩費用まとめ) 東京都千代田区の産婦人科の出産費用(出産できる病院と分娩費用まとめ)橋を渡って・・・
そのまままっすぐ坂を下り、坂を上ります。
「東都文京病院」という標識もところどころに。
セブンイレブンを通り過ぎたところで右折すると、道の奥の正面に東都文京病院が見えます。
普通に歩いて7分で着きました。
駐車場もあり、自家用車の利用も可能のようです。
タクシーは常駐していません。
湯島駅・末広町駅からのアクセス
湯島駅・末広町駅が一番近いようなので、地図でアクセスも確認してみたのですが・・・
病院玄関が西側にしかないので、地図だけ見て行ってしまうと迷子になりそうです。
病院の入口はこちらだけ。
公式サイトのアクセスのページに、各駅からのアクセス方法の地図もありましたので、よく確認してから出発されるようおすすめします。
東都文京病院の産後ケア見学記
東都文京病院に到着し、見学させていただくことになりました。
外観はこんな感じ。
築30年程度の建物だと思います。
診療科の看板。
健診センターもあり、人間ドックもやっているみたいです。
人間ドックは、私も他の病院で出産後に受けました。
妊娠・出産すると人間ドックはなかなか受けづらいです。
妊娠前の方は、早めに行かれるのがよいと思いますよ~。
院内は、新しくはないですが、こざっぱりしています。
産後ケアの入院はどんな病室?
産婦人科の助産師さんに案内され、2階の病棟にお邪魔しました。
こちらがナースステーション。
可愛いですね。
この2階は、女性用の入院病棟ということで、産後ケア・産婦人科だけでなく、外科、内科、整形外科など、すべての診療科の女性患者さんが入院されるそうです。
14室、34床(うち3床は新生児)。
一人部屋が12室となっています。
今回は、空いていた236号室を見学させていただきました。
面積19.8平米、1泊¥23,100円という、一番お高い部屋です。
すごく広い病室でした。
入ったとたん、こんなのがありました。
開くと机になるやつですね。
他にも家具がたくさん。長期滞在も可能な病室のようです。
クローゼットは着替えなども入れられて、便利そうです。
引き出しも。
ベッドがこちら。
バストイレはユニットタイプでした。
リンスインシャンプー、ボディソープ、ペーパータオルがあります。
窓の外は緑がいっぱい。東向き病室の窓はどれもこうだと思います。
桜の木なので、春になったらきれいでしょうね。
網戸がなく、開けることは想定していない様子です。
隣で新棟の工事をしているはずなのですが、二重窓のせいか音はまったく気になりませんでした。
見せていただいたのは、一番広く、バストイレ付きという「特B」のお部屋(1泊23,100円)。
特B室は産後ケア専用で、3室準備されています。
トイレ付「特C」の部屋(1泊21,000円)も見せていただきました。
大部屋(1泊19,440円)は、3人部屋だそう。
大部屋で、夜中に赤ちゃんが泣いたりしてもいいんでしょうか・・・?
助産師さんに聞いてみると、
助産師さん
とのお答えでした。
大部屋は原則として、産後の母子向けの部屋であり、妊産婦以外の患者さんとは同室にならないそうです。
東都文京病院の産後ケアの共用設備
個室から出て、共用設備も見学させていただきました。
バストイレなしの病室の場合は、共用のトイレとシャワーがあります。
シャワー室。
シャワー室の中には、椅子もあります。
予約ボードに名前を書いて入るようになっていますね。
共用の洗面所。
ナースステーション横に分娩室・新生児室への入口があります。
入って右手に分娩室への廊下が。
左手に調乳スペース。
こちらが授乳室。
中央の机には、ハーブティーなどが置いてありました。
沐浴室。
赤ちゃん用体重計。
これ、なつかしい~!
東都文京病院は、2018年現在、月間10~15件の分娩数だそうです。
売店は、院内にはなく、外出届を書いて外のコンビニまで行きます。
セブンイレブンが徒歩20秒ぐらいなので、売店がなくても不便はないと思いました。
東都文京病院の産後ケアの食事を試食!
東都文京病院の産後ケアで出される食事を試食させていただきました。
当日出された昼食メニューはシーフードカレー。
レトルトではなく、和風のだしのきいたカレーで美味しかったです。
メニューは基本的には他の入院患者さんと同じですが、産後ケアでは栄養をつけるために一皿多いとのこと。
たいてい小鉢料理が一つ追加されているということです。
この日はフルーツ。ライチでした。
他の日のメニューも助産師さんが写真に撮ったものを見せてくださいました。
ハンバーグ(昼食)
コロッケ(昼食)
首都圏のお高い産婦人科で見かける「シェフが作るこだわりの入院食」みたいなものとは違いますが、過不足のない、バランスのとれた病院食を提供されていると感じました。
また、食事時間とは関係なく、カフェインレスのハーブティーも飲むことができます。
一杯どうぞとのことでしたので、私はこちらをチョイス。
ブレンドされたハーブティーで、飲みやすかったです。
ごちそうさまでした♪
また、産後ケア入院の場合は、おやつが出ます。
廊下でちらっと見ましたが、この日のおやつはどら焼きでした。
東都文京病院の産後ケアの料金と人気の部屋は?
東都文京病院の産後ケアの費用は、1泊3食付18,900円~23,100円です。
料金表がこちら。
[出典] 東都文京病院産後ケア料金表
どの部屋がよいか、第一希望、第二希望・・・というふうに質問されます。
一番人気があるのは、バストイレなし個室18,900円(+税)だそう。
こちらの部屋ですね。
確かに、この価格差なら私もバストイレなし個室を選ぶな~と思います。
バストイレ付個室は空きがある場合が多いということです。
第一希望の部屋が空いていない場合には、他のタイプの部屋にまずは入院し、空きを待つ方式だということでした。
そのほかの料金は以下の通りです。(いずれも税別)
- 双子の場合 5,400円追加
- 家族(父・上の子)の付添料 3,000円追加
- 母親が保険入院になった場合の新生児保育管理料 5,400円
- 付き添う家族の食事料 1,200円/食追加
紙オムツ代は実費となります。
紙オムツなどは、病院のものを提供してもらい、退院時に精算することもできます。
通販で購入して病室で自分で受け取るのも一応OKですとのことでした。
(受け取りは、入院して以降にしてくださいとのことでした。)
東都文京病院の産後ケア、洗濯はしてもらえる?
なお、洗濯に関してですが、ランドリーサービス(預けて洗濯してもらう)はありません。
有料のレンタル病衣、レンタルタオルはあります。
屋上に、患者の利用できる洗濯機はあるそうです。
(洗剤を持ってきて、自分で洗濯してくださいとのことでした。)
また、病院から徒歩30秒ぐらいのところに、コインランドリーがありましたので、こちらを使うということもできそうです。
病院出口を出て直進し、二車線の道路を横断してすぐのところにありました。セブンイレブンの北側。徒歩30秒ぐらい。
「コインランドリーピエロ161号湯島店」とありました。
24時間年中無休。洗濯乾燥機あり。
入院中に使えそうですが、乾燥機にかけられない授乳ブラを含む下着は、家族に持ち帰って洗ってもらうか、自分で手洗いしてワイヤー型の物干しで干すということになるでしょうか。
東都病院では、物干しは各室にありました。
でも、授乳ブラって乾かないんですよね~。
私がモーハウスブラという、厚手の授乳ブラを使っていたせいかもしれませんが・・・。
買ってよかった授乳ブラ~おすすめ!モーハウスブラで産前も産後も乗り切れた~ちなみに、産後ケア入院を受け入れている多くの助産院では、洗濯は助産院のスタッフさんがやってくれます。
[参考] 八千代助産院(おとわバース) 産褥入院の料金・その他の情報 [参考] マザリーズ助産院 産褥入院の基本情報有料のランドリーサービスのある施設も。
[参考] 聖路加産科クリニック 産褥入院(ショートステイ)の基本情報世田谷区の産後ケアセンターでは、洗濯サービスはありませんが、コイン式の洗濯機が設置されています。
[参考] 武蔵野大学附属産後ケアセンター 産褥入院のための見学レポート長期の入院になると、洗濯というのは必ず必要になってきます。
他の産褥入院施設をご検討の方も、洗濯の環境については必ずチェックなさってくださいね。
産後ケアの一日の流れ
産後ケア入院した場合の一日の流れについて聞いてみました。
入院初日
入院初日は、多くの方が出産した病院を退院し、そのまま産後ケア入院に来られるということです。
当日のお昼ご飯の提供も可能。
これって助かりますね。
(ただし、入院が12時15分を過ぎる場合は、衛生上昼食を提供できないということです。)
到着したら、「産褥入院質問表」が渡されます。
こんな質問が並んでいます。
- 現在の授乳の状況について教えてください
- ミルクはご自身で作れますか?
- 自宅に帰ってからのサポート体制について教えてください。
- お母さん自身のことで何か気になっていることがあれば、教えてください。
(例:傷が痛い、足がむくんでいる、腰痛がある など)」 - 赤ちゃんのことで気になっていることがあれば教えてください
裏側はこちら。
こんなチェック欄もありました。
- 搾乳の方法を知りたい
- 沐浴は家族にも教えてほしい
- 沐浴は自分でやりたい
どれも、「確かに、それは産後に不安に思うポイントだな」と感じるものばかりです。
かなり丁寧に入院する母親の希望を聞いてくださり、産後ケアに何を求めているかということをすり合わせるようです。
赤ちゃんは必要に応じ小児科医の診察を受けます。(翌日の場合も)
その後、赤ちゃんに授乳をするタイミングで、助産師さんが授乳状況のチェックをし、必要に応じて授乳指導をするということでした。
それ以外に、栄養士さんが食物アレルギーのチェックとメニューの配布に来たり・・・という入院時の一般的な手続きがある様子。
そうこうする間に夕食の時間になり、初日はだいたいこれだけで終了してしまうようです。
入院中は基本的に母子同室で、コット(移動式の新生児用ベッド)に入った赤ちゃんとともに休みます。
入院2日目以降
入院2日目以降、赤ちゃんは小児科医の診察を受け、沐浴もします。
母親は、希望にあわせて搾乳指導、沐浴指導を受けます。
また、スタッフの状況によっては、マッサージや足湯などのサービスを受けられるとのことでした。
赤ちゃんは預けられる?
東都文京病院の産後ケアですが、見学時には、「母児同室で、赤ちゃんは基本的には預けられない」というニュアンスでお話を伺いました。
できる場面として助産師さんが挙げられたのは、「お母さんがコンビニなどに買い物に行くとき、ナースステーョンに預けることは可能です」ということでした。
帰宅後に、改めて確認したところ、「基本は母子同室となりますが、お母さんが休みたい場合は助産師が赤ちゃんをお預かりしており、お母さんのニーズに沿った対応を心掛けています」とのこと。
たぶん、「預かりましょうか?」と聞いてもらえるわけではないので、「預けたいです」とはっきりリクエストすることが重要そうです。
病院としては、母乳育児を推進しており、母児同室で積極的に授乳するので、母児同室ということなのだと思います。
ところで、私が産後ケア入院した助産院は、赤ちゃんは同室してもOK、預けてもOKでした。
赤ちゃんが泣いたら連れてきてもらう、泣いたら助産師さんにミルクをあげてもらう、というのも選ぶことができて、出産後はじめて落ち着いて眠ることができました。
産院の入院中は母子同室だったので、出産後はじめて一晩ぐっすり眠れて、体力が大幅に回復したのを記憶しています。
ですので、私は個人的には、「赤ちゃんが預けられる」ということにメリットを感じます。
なお、他に産後ケアを受け入れているまつしま病院(江戸川区)は、産後ケアでの赤ちゃんの預けには積極的ではありませんでした。
[参考] まつしま病院の産褥入院(産後入院)基本情報人手の少ない夜間の赤ちゃんの預かりには、悩みを持つ施設も多いようです。
院長先生インタビュー
東都文京病院の院長であり、産婦人科医でもある、杉本充弘先生にお話を伺いました。
杉本先生は1973年東大医学部卒。
東大医学部付属病院、日立総合病院、長野赤十字病院他の病院で研修をされ、日本赤十字社医療センター産婦人科部長、同センター周産母子・小児センター長、副院長、顧問を経て、2015年4月に東都文京病院の院長に就任されています。
(経歴はHospitals Fileより)
日本赤十字社医療センター(以下「日赤医療センター」)といえば、渋谷区広尾にあり、NICUなどを備える大病院である一方、熱心な母乳育児指導で有名な病院ですね。
東都文京病院での産後ケア入院が始まったのは2015年。
杉本先生は着任早々、産後ケア入院をスタートするよう指示されたそうです。
どういう経緯だったのでしょう? 質問してみました。
産後ケアを始めた理由として杉本先生が一番におっしゃったのは、産後の入院日数のことでした。
実は、大きな流れとして、出産時の入院日数は短期化が進んでいます。
30年~40年前には、10日~2週間の入院が一般的でした。
(こちらの記事でも紹介している松田道雄著の「わたしは赤ちゃん」(1960年出版)では、普通分娩の母親が産後2週間入院しています。)
しかし、現在の東京では、産後5日程度で退院するのが一般的です。
病院によっては、産後3~4日で退院となる例もあります。
これには、周産期医療の高度化とともに、医療スタッフの集約が進み、病院のベッド数不足から退院日数が削られてきたという背景があるとのことでした。
7日という日数の必要性について聞いてみたところ、まずは母乳育児面でのメリットを挙げられました。
多くの場合、産後3~4日目ぐらいからだんだん出るようになり、7日もたてば自律授乳できるようになってきます。
4日ほどで退院して、十分な指導を受けられないと、本来なら母乳育児できたのに、『自分は母乳が出ない』と、あきらめてしまう人が出てくるんです。」
母乳が出るようになるまで、経験ある医療スタッフのもとで、吸わせ方の指導などを受けることで、母乳育児がうまくいく確率が高まるということを杉本先生はおっしゃっていました。
加えて、産後4~5日ではまだ医療的なケアが必要な場合がある、ということも強調されました。
でもこれは、手術糸を抜糸してしまえば痛みが減るケースが多いんです。6-7日目にうちで抜糸してあげると、『ああ、楽になった』とみなさんおっしゃいます。
今はどの病院でも溶ける糸を使っているのですが、溶けるからといってそのままにすることはない。抜糸して楽になるなら、そのほうがいいんです。」
昔は入院期間が長かったので、抜糸まで済ませたうえで退院していたそうです。
今は、退院日して以降は、通常は一か月健診まで産院を訪れることはありません。
それまでずっと痛みを我慢することになってしまうと、辛いですね。
医療的ケアについては、他にも、こんな事例を挙げられました。
確かに、出産時に圧迫骨折して退院してしまったとしたら、整形外科に通いたくても、赤ちゃんをだれかに預けていくのも大変ですし、赤ちゃんを連れて通院するのはそれ以上に大変です。
東都文京病院の産後ケアなら、他科診療中は、赤ちゃんを新生児室に預けられます。
他にも、心療内科で病名がつくほどではないが、精神的ケアの必要な母親に対しても、病院の産後ケアであれば医療的なアプローチができるというお話もされていました。
東都文京病院には、整形外科、皮膚科、歯科、心療内科、糖尿病内科、循環器内科、泌尿器科、乳腺外科などもあります。
これらの科で診療を受けつつ産後ケア入院できるというのは、他の施設にはない特徴だと思いました。
医療ケアは、お母さんだけではなく、赤ちゃんに必要な場合もあります。
でも、医師としては『これで安心』と思って退院させているわけではない。自宅に帰ってまったく目が届かないのは心配です。
そのため、近くの大学病院で出産後し、病院から『東都文京病院の産後ケアに入院するなら安心だ』と勧められて、こちらに入院した方もいました。」
最近は、近隣の大学病院の紹介で東都文京病院に入院される方も増えている様子でした。
私は、助産院に産後ケア入院をしたのですが、助産師さんは抜糸などの医療行為ができません。
(黄疸の数値や赤ちゃんの体重をチェックしたり、授乳指導をしてくださったりはしましたが、それを超えた医療行為は、医師でなければできません。)
東都文京病院の産後ケアには、「総合病院の産後ケアだからこそ」のメリットがあるのだなあと感じました。
[参考] 産褥入院ってどうやって予約するの?(1)~産褥入院利用の体験談~なお、産後ケア入院で母親が何らかの医療ケアを受けることになり、保険診療となった場合には、母親のみが健康保険での入院の対象(3割負担)となり、赤ちゃんは自費入院(1泊5,400円)となります。
母親の医療費は3割負担となりますが、個室を選択することで個室料がかかるので、結果としてはトータルの支払額は1泊2万円前後となるのではないか、というのが助産師さんからの説明でした。
さて、産後ケアですが、やはり金額的に高いのがネックになりますね。
(私としては、サービスに見合う金額だと思っていますが・・・→「産褥入院1日3万は高すぎるか?/母がいない人と産後うつの人、どちらが優先?」 ただ、日常の感覚でいうと、出せるかどうか、迷ってしまいますよね。)
出産した病院のスタッフに聞いてみて、『まあ2万円なら』というので、この金額にしたんです。」
確かに、このお値段、都内ではかなり安いと思います。
(東都文京病院の産後ケアは文京区・千代田区・埼玉県所沢市の補助対象となっており、市区町村の補助が受けられる場合はさらに安くなります。)
都内では、1日3万円が標準的な金額です。
しかも、多くの施設が「1日3万円、1泊2日6万円、2泊3日9万円・・・」という価格設定。
しかし、東都文京病院では、「1泊2日18,900円+税、2泊37,800円+税・・・」となります。
この違い、分かりますか?
東都文京病院では1日分少なく計算してもらえるんですね。
これも実は、杉本先生の産後ケア入院にかける思いからとのことなのです。
だから、『1日〇〇円』という価格設定にすると、入院初日はあちらの病院での入院費がかかり、うちでもかかって、ダブルカウントで払うことになってしまう。
それは負担が重いと思って、『1泊2日』で計算することにしたんです。」
このお話を聞いたときには、「すごい!そこまで行き届いた気遣いをしてくださっているのか!」と感動してしまいました。
私は、すごく失礼な話なのですが、(東都文京病院に限らず、産後ケア入院全般についてですが)「病床を埋めるためにやっているのかな? 空いているよりはトクだもんね」なんて思っていたことがあったんです。
しかし、これまでさまざまな施設(自分が入院した八千代助産院、札幌の「さんさん助産院」や、今回の杉本先生)でお話を伺い、どの施設でも、利益よりもまず「この社会に産後ケア入院が必要だ」というところからスタートし、使命感をもって受け入れをされていることが分かってきました。
産後ケア入院というのは、24時間体制で母子を受け入れる負担があるうえ、保険診療もないので、利益の出にくいサービスです。
助産師1名で回しているような助産院では、365日受け入れるのは難しい・・・というようなお話を、産後ケアに携わる助産師さんから伺ったこともありました。
そのような中、受け入れてくださっていることを思うと、本当に、頭の下がる思いです。
個人経営の助産院のギリギリな状況と比較すると、東都文京病院のような総合病院の産後ケアは、受け入れ側に余裕がありそうに感じられます。
夜間はもともと夜勤のスタッフが配置されていますし、食事も調理スタッフがまとめて作っているので、入院数の増減による負担が軽そうに思われますので・・・。
これからは、助産院の産後ケアより、病院での産後ケアが増えていくのでは?と想像しつつ、杉本先生に今後の産後ケア事情についてどうお考えか聞いてみました。
え? そうなんですか?
これは、意外なお答えでした。
その理由を先生が説明してくださいました。
2017年の出生数は94万1000人。
70年代をピークに減り続けています。
(グラフは朝日新聞ニュース「出生数、2年連続の100万人割れ 自然減は過去最多」2017年12月22日より)
しかし、出生数があと10万ぐらい減ったら、ベッドが空いて、出産後の入院日数が増えるということもあるかもしれないと思っています。」
そうしたら、産後ケア入院も今のように必要ではなくなるかもしれない、ということなのです。
この将来予測は、私は考えもしなかったことでした。
さらに、杉本先生は、産後ケア入院をとりまく状況についてこんなお話もされました。
それに、実際に病院で産後ケアをやろうと思っても、混合診療にあたるかという制度的な問題や、その病院のベッドに空きがあるかという問題もあり、病院で産後ケアの仕組みを作るのはそう簡単ではないんですよ。」
杉本先生は、「産後ケア入院を始めたからそれで十分だ」というお考えではなく、現在の日本の周産期医療全体を通じた問題として産前産後の母子のサポート、また、公的補助のあり方をお考えのようでした。
周産期医療に45年以上携わってこられた先生だからこそのお話で、私としては、一気に視野の開ける思いでした。
お忙しい中、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました。
杉本先生、病棟の助産師さん、事務長さんはじめ、今回の訪問にご協力しただいた病院スタッフの皆様に心よりお礼申し上げます。
東都文京病院の産後ケアの予約方法・混雑状況は?
東都文京病院の産後ケアの予約は、電話で行います。
出産前の予約・見学はもちろん、出産後に予約して入院された例もあるそうです。
2018年8月現在、月間の利用件数は12~13件とのこと。
どれぐらい混んでいるのか、申し込んで断られることはないか気になるところですが・・・。
助産師さんに伺ったところ、これまでのところ病床に比較的空きがあり、産後ケア入院を断った例はないということでした。
入院日数は自分で決められますが、8~10日間の入院が多く、入院日数の上限は設けられていません。
東都文京病院の産後ケアの特徴
良い点
- 医療サービスが受けられる(投薬、抜糸、他科の受診、赤ちゃんの低体重、黄疸、合併症など)
- 母乳育児支援にごく積極的
今一つな点
- 洗濯を任せられない
東都文京病院の産後ケア見学の感想
産後ケア入院といえば、「里帰りできない人のためのサービス」と思い込んでいた私でしたが、ニーズはそれだけではないのだということに、改めて気づかされました。
とくに、医療ケアの必要な産婦さんには、東都文京病院のような、総合病院での産後ケアというのは大きなメリットがあると感じます。
一方で、洗濯や、上の子の宿泊といったソフト面においては、助産院のように小回りがききません。
「産後ケア」といっても、受けられるサービスは施設によって様々ですので、十分に比較して決めることが大切だと感じました。
※見学に伺った時点(2018年8月)の情報をもとに記事を作成しています。(金額のみ随時改定しています。)時間が経過すると、最新の情報とは異なってしまう場合がありますので、ご利用前には施設に直接お問い合わせください。
※産後ケア入院を実施されている施設で、当ブログへの掲載をご希望の場合は、ぜひご連絡ください。伺って記事にさせていただきます。
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