赤ちゃん研究員ってご存じですか?
大学などの研究機関で、赤ちゃんの視覚・聴覚の発達などを研究する研究室が募集しているボランティア(アルバイト?)です。
「ちびっこ研究員」「こども研究員」とも呼ばれています。
数百円~数千円ですが、謝礼(現金、図書券など)がもらえる場合もあります。
赤ちゃん研究員を知ったきっかけ
私が赤ちゃん研究員を知ったきっかけは、出産前後に読んだ「赤ちゃんは世界をどう見ているのか」という本でした。
「目が見える」とは、単に「目に光が入る」とは違うことで、脳の発達と密接に結びついているということが分かりやすく書かれています。
たとえば、
- ものが立体に見える
- 人の顔を見分けられる
- 探し物の一部が見えたら発見できる
これって当たり前のことのようだけれど、実はすごい機能なのだということなんです。
とても興味深い本でした。
(ベビーメリー(モビール)を手作りしたときも、この本に書いてある通りの反応で、びっくりしました。)
それで、著者の大学のHPを見ていると、研究協力してくれる赤ちゃんを募集しているじゃないですか!
そういえば、実験対象となる赤ちゃんが少ないため、研究が進まず苦労しているという話が「赤ちゃんは世界をどう見ているか」の中にも出ていた気がします。
調べてみると、他にも複数の大学で募集していました。
どんな実験をするの?
大学の研究室で実験と聞くと、血をとられたり切られたり・・・を想像するのですが、そういうものではありませんでした。
わが家は、これまで4件の実験に参加しましたが、赤ちゃんの言語、空間認識、人間関係についての研究が中心でした。
実験の様子がイメージできる動画をまとめてみました。
同志社大学 赤ちゃん学研究センター
赤ちゃん研究とその実験内容については、同志社大学の赤ちゃん学研究センターの紹介動画が一番分かりやすかったです。
うちでは同志社大学の実験には参加していませんが、実験室のイメージも、実験する方のフレンドリーな感じも、ほぼこの動画通りです。
中央大学 山口研究室
「赤ちゃんは世界をどう見ているか」の著者でもある中央大学 山口研究室では、実験で使った動画素材を公開しています。
研究者がどういうことを調べようとしているのか、イメージが持ちやすくなると思います。
TED
海外の赤ちゃん学研究者の講義画像もよろしければどうぞ。中盤で、赤ちゃんに外国語を聞き取らせる実験のシーンがあります。うちの子が受けた実験もほぼこれと同じイメージでした。
なお、この研究は、「外国語を学ばせるなら早いうちに」という教育法の根拠となったものだと思われます。英語教材のキャッチコピーで「〇才までに始めなければネイティブの発音にはならない」みたいなことがよく書かれていますよね。
でも、この研究者が明らかにしたかったのはそんな次元のことではなく、親から子への文化の伝達として言語がある、固有の文化を大切にしていこう、というのが本筋なのだと知り、感銘を受けました。
動画は英語ですが、下に言語切り替えのドロップダウンリストがあり、「Japanese」を選択すると、講義内容を日本語に文字起こししたものを読むことができます。
Patricia Kuhl “The linguistic genius of babies”
研究室は赤ちゃんに優しい
どの研究室にお邪魔しても、先生と学生さんはさすがに子どもに慣れており、実験前後には楽しく遊んでくれたり、おもちゃが準備してあったり。子供たちもゴキゲンでした。
一度声がかかると、継続して参加することになるようで、2回呼ばれることが多かったです。
お近くにお住まいで、ご興味のある方はよろしければどうぞ。
赤ちゃん研究員を募集している大学・研究機関
赤ちゃん研究員を募集している大学・研究機関をまとめました。
応募条件や謝礼の有無については各研究室のページでご確認ください。
中央大学(八王子キャンパス)
中央大学文学部心理学研究室・山口真美研究室
東京都八王子市東中野742-1
http://c-faculty.chuo-u.ac.jp/~ymasa/entry/index.html
※妊娠中からの登録が可能です。
東京大学(本郷キャンパス)
東京大学大学院教育学研究科 教育心理学コース(針生悦子研究室)「赤ちゃん研究員募集」
東京都文京区本郷 7-3-1
http://www.p.u-tokyo.ac.jp/~haryulab/babyrecruit2.html
東京大学(本郷キャンパス)
東京大学大学院教育学研究科 発達脳科学研究室(多賀研究室)「赤ちゃん研究員」
東京都文京区本郷7-3-1
http://dbsl.p.u-tokyo.ac.jp/
東京大学(駒場キャンパス)
東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻 開研究室「赤ちゃん大募集」
東京都目黒区駒場 3-8-1
https://ardbeg.c.u-tokyo.ac.jp/
理化学研究所(和光)
理化学研究所 脳科学総合研究センター 言語発達研究チーム「赤ちゃん研究員募集」
埼玉県和光市広沢2番1号
http://lang-dev-lab.brain.riken.jp/baby.html
慶応大学
慶應義塾大学社会学研究科 赤ちゃんラボ「赤ちゃん研究員募集」
東京都港区三田3-2-15
http://duallife.web.fc2.com/i/4.html
玉川大学赤ちゃんラボ
玉川大学 脳科学研究所・赤ちゃんラボ
東京都町田市玉川学園6-1-1
http://www.tamagawa.ac.jp/brain/baby/
埼玉大学
埼玉大学教育学部 清水由紀研究室「研究協力者募集」
埼玉県さいたま市桜区下大久保255
https://sites.google.com/view/yukishimizu/home
新潟大学
新潟大学人文学部心理学研究室 知覚発達研究グループ「赤ちゃん・こども研究員募集」
新潟市西区五十嵐2の町8050
http://www.human.niigata-u.ac.jp/~shirai/akachan/recruit.html
名古屋市立大学
名古屋市立大学人間文化研究科 中川研究室「研究協力者募集」
愛知県名古屋市瑞穂区瑞穂町
http://www.hum.nagoya-cu.ac.jp/~nakagawa/recruitment.html
福井大学
福井大学こども研究センター(「トピックス」内で募集の場合あり)
福井県吉田郡永平寺町松岡下合月23-3
http://www.med.u-fukui.ac.jp/CDRC/
京都大学
京都大学大学院教育学研究科 明和政子研究室「赤ちゃん研究員募集」
京都市左京区吉田本町
www.educ.kyoto-u.ac.jp/~myowalab/application/index.html
同志社大学
同志社大学赤ちゃん学研究センター「赤ちゃん研究員募集」
京都府木津川市木津川台4−1−1
http://akachan.doshisha.ac.jp/recruit.html
※全国どこからでも応募可能な郵送でのアンケートもあります。
京都先端科学大学
人文学部心理学科 池田研究室「子ども研究員募集中」NEW!
京都府京都市右京区山ノ内五反田町18(太秦キャンパス)
https://lab.kuas.ac.jp/~child.lab/recruitment.html
関西学院大学理工学部(三田キャンパス)
関西学院大学理工学部 長田研究室「ちびっ子研究員募集」
兵庫県三田市学園2丁目1番地
http://ist.ksc.kwansei.ac.jp/~nagata/chibikko/index.html
九州大学
九州大学教育学部・大学院人間環境学研究院 発達心理学講座「赤ちゃん研究員」
福岡市東区箱崎6-19-1
http://www.babykyushu.org/
長崎大学
長崎大学 医学部 第二生理学教室「赤ちゃん研究員募集中」
長崎県長崎市坂本1丁目12-4
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/physlgy2/akachann/boshu.html
実際に参加してみました!
わが家では、第一子、第二子とも複数の赤ちゃん研究員募集に応募し、参加しました。
都内や関西であれば、多数の研究機関があり、参加のチャンスも多いと思います。
わが家では、妊娠中や出産後すぐに複数登録したのですが、登録してすぐに呼ばれるということではありませんでした。
各研究室でも、データを集めるため実験している時期とそうでない時期があり、実験している期間にちょうど研究対象となる月齢になっている赤ちゃんに声がかかるということのようです。
最初の連絡はどう来るの?
実験参加の最初の連絡は、電話の場合もメールの場合もありました。
いずれも複数の日程・時間を提示され、その中から都合の良い日を答えると、先着順で枠を埋めていく様子でした。
実験参加が決まると、事前にメールや郵便で、研究室へのアクセス方法が伝えられます。赤ちゃんのプロフィールのアンケート(出生体重や家族構成など)、実験の守秘義務についての誓約書を記入して持っていくこともありました。
実験当日のこと
当日は、けっこうドキドキしながら大学へ向かったのですが、入口でのチェックはありません。そのまますーっと研究室まで行けてしまい、拍子抜けでした。(理研では守衛所に立ち寄る必要がありました。)
ノックすると、大学院生と思われる学生さん(女性の比率が多い気がします)と先生に大歓迎され、アンケートなどを回収され、研究の説明を受けて実験が始まります。
実験室は、大学の中の無機質な感じの普通の部屋なのですが、ジョイントマットを敷いて、赤ちゃんの好きそうなおもちゃが置いてあります。
授乳設備、おむつかえ設備も完備でした。
実験される方にとっては、「赤ちゃんが起きているか」「機嫌が良いか」が最初の大きなハードルのようで、うちの子は「目を覚ましている」「泣いていない」というだけで喜ばれ、
じゃあ、さっそく実験しましょう!
となりました。
どの実験でも、赤ちゃんと親が離れる必要はなく、膝に抱いた状態で、赤ちゃんに測定装置(危険なものではありません)をつけて、画像をみせられたり、音を聞かされたり・・・という内容でした。(この内容が守秘義務の対象になるようで、詳しく書くことができません。)
赤ちゃんだけが実験の対象かと思っていたら、実験を進める学生さんに
では、お母さんから赤ちゃんに〇〇と声をかけてください。
なんて言われて、母親と赤ちゃんの関係性を見る実験だと分かり、私の話し声が裏返ってしまったこともありました。
実験は30分~1時間程度で、赤ちゃんが飽きる前に終わるよう工夫されているようでした。
最後に謝礼を受け取り、終了となります。謝礼はたいてい、交通費プラスアルファ程度の額(500円~2,000円)の図書券・クオカードなので、謝礼目的で参加するようなものではないと思います。
ただ、この実験で修士論文を書くんだな・・・という学生さんが、データがとれて明らかにほっとしている様子などを目にすると
管理人
と思うこともありました。
また、研究結果を発表した後に、わざわざお礼状とともに論文の内容を説明するお手紙をくださった研究室もありました。
子どもが大きくなったとき、「あなたは赤ちゃんのとき、こんな研究に参加したんだよー」と話すと面白いかなと思い、大切にとってあります。
どうやったら呼ばれるの?
赤ちゃん研究員に興味を持って登録してみたけれど、全然呼ばれない、呼ばれるコツってあるの?と思われる方もいらっしゃると思います。
何度か呼ばれた私の経験から想像する限りでは、タイミングが全てということのようです。
研究室でも、常時かたっぱしから登録した赤ちゃんを呼んで実験をしているわけではなくて、研究室に所属する学生さん(あるいは先生)が「今回はこういうテーマを明らかにするために、〇か月から〇か月の赤ちゃんにこういう実験をしよう。統計処理に必要なデータ数は〇人だから、〇人プラスアルファの赤ちゃんを呼ぼう」と決めるわけですね。
そして、論文の提出日から逆算して実験の日程を決め、登録してある赤ちゃん研究員の月齢を調べて、月齢の合う赤ちゃんにメールか電話で連絡していくようです。
ですので、予約がとれた人から順にスケジュールを埋めていき、実験に参加できるようになるわけです。
なので、コツとしては「連絡が来たら速攻で返す」ぐらいしかテクニックは思いつきません。
せっかく登録しても、その月齢の子を対象にした実験をやりたい学生さんがその研究室にいなければ呼ばれませんし、登録してずいぶん経ってから突然呼ばれることもあるということなのだと思います。
赤ちゃん不足
どの研究室でも、対象となる赤ちゃんを確保するのに苦労されているようです。
月齢の合う赤ちゃんの登録がもともと少ないうえ、赤ちゃんの体調により直前でキャンセルとなることや、実験が中断して正確なデータをとれないことがあるのかなと想像しました。
(うちの娘も、ぐずって実験拒否をやらかしたことがあります。それでも謝礼は出るので申し訳なかったです。)
赤ちゃんのうちだけできる、人の役に立つうえに面白い経験だと思います。赤ちゃんが日々何を感じているのか、考えるきっかけにもなりました。ご興味のある方はぜひどうぞ。
母子衛生研究会のメールも要チェック
実はわが家では、赤ちゃん研究員に協力して、1回8000円の商品券をいただいたこともあります。
母子手帳をもらうときに母子手帳の副読本って一緒にもらいませんでしたか?
わが家では、副読本に載っている、「マタニティひろば ハロー赤ちゃん」というイベントに応募するために、「ファミリーサポートわくわくナビ」というサイトに登録していました。
この「ファミリーサポートわくわくナビ」から、その後も育児情報のメールが定期的に届くのですが、ときどき「研究協力者募集」という内容の手紙やメールが混ざっています。
そのメールのアンケートに答えておくと、しばらくして調査に呼ばれることがありました。わくわくナビ経由の調査は、報酬額が高い印象があります。
以前も、「研究協力者募集」のメールに返信しておくと、数日後にマーケティング会社から連絡があり「〇月〇日に〇〇駅周辺で〇才のお子さんが対象の調査があります。報酬は8,000円です。参加されますか?」と質問されました。
おそらく、研究所と同じ都道府県の人に一括で送っていたと思います。
ベビー用品の新製品が発売されたときに、無料でサンプルが送られてきたこともありました。
ファミリーサポートわくわくナビに登録し、郵便・メールの中身はこまめにチェックするのがおすすめです。
それまで報酬は2,000円までしかもらったことがなかったのですが、この実験が8,000円だったことには「あー、確かに8,000円ぐらいじゃないと人が集まらないかも」と終わってから妙に納得してしまいました。
このときも、子どもが飽きないようにDVDを準備してくださり、研究室内のWi-Fiを使って動画を見ることもできたりして、至れり尽くせりの環境でした。
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